2008年05月21日

初めての不動産売買契約

私が初めて勝ち取った不動産売買契約は、
ちょっと変わったパターンでした。

私が入社した不動産業者は
分譲と仲介とを両方やる業者だったのですが、
最初の1年は仲介だけをやらされます。

不動産業者には普通、営業マンが複数いるものです。
広告に対する反響の電話がかかってきた場合、
順番に担当していきます。

ある日、Hさんと名乗る男性から電話があり、
「田舎っぽい雰囲気の売り土地を探している」
との事でした。

ただし、教えてくれたのは電話番号のみで、
住所は決して教えてくれず、
営業の基本であるご自宅への訪問は不可能でした。

電話で「いい土地が見つかりました!」
と報告すると、
「じゃ、FAXで送っておいて!」
との返事しかもらえず、
単なる”御用聞き”のような営業しかできなかったんです。

また、先輩社員Mにも、同じような物件を希望する
Kさんと名乗る女性から反響があり、
裏を取れたのは電話番号だけでした。

Mは「コレ・・・同一人物じゃない?」
とピンと来たようでしたが、
電話番号もFAX番号も違うので、
「やっぱ、違う人か・・・」
と一応の結論を出していました。

私は新人で、従前からの顧客もいないので、
Hさんに何度も何度も電話とFAXをしました。

先輩Mは分譲販売した家の打合わせなどで忙しく、
Kさんの事は暇な時に・・・といった対応をしていました。

そんなある日、
約1ヵ月後だったと記憶しているのですが、
突然Hさんから電話があり、
「先日FAXしてくれた物件について話したい。
 ついては、私の自宅に来てくれませんか」
と連絡がありました。

喜んで住所を聞き、住宅地図で確認すると、
「K」という家でした。

実はHさんは、Kさんとは内縁関係で
既に同居もされていたのですが、
Hさんは事務所の番号を教えてくれていたのです。
(だからKさんの電話番号とは違っていたわけです)

あちこちの不動産業者に電話して、
いろんな業者からの情報収集をしたり、
業者を天秤にかける客は多いのですが、
一つの会社に複数の名前で連絡してくるのは珍しいケースです。


商談は成立し、Kさんは真実を語ってくれました。

「おたくのMさんという営業マンは、
 あまり熱心じゃなかった。
 私は会社の看板とか肩書きではなく、
 熱心で誠意ある営業マンから買いたかったんです」

私はこの話を聞き、やや複雑な心境ながらも、
本当に嬉しかったです。

また、見込み薄そうなお客さんに対しても、
誠意を持って真剣に提案すれば、
それに応えてくれる人はいるのだ、
という事を学べたのは大きかったと思います。

今回は、不動産業界で働く人のために
書かせていただきました。



posted by fudousan-eigyouman at 12:00| Comment(0) | 不動産業界で働く | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年03月26日

不動産屋の泣き所は「不公平な法律」

不動産の購入申込みについては、
業者としては納得できない法律などが多い。

一般的に、何かを買う場合、
手付金を差し入れるのは商習慣として
世界中どこへ行っても当然の事である。

ほとんどの不動産業者はキチンと事務所を構え、
会社を維持するコストを払い、
税金を払っている真っ当な不動産業者である。

つまり、広告を見てフラッとやって来て、
名前も名乗らなければ住所も教えてくれない、
身元を明かさない一般人よりは
信用力があると見做されるべきだ。


見ず知らずの他人がやって来て

「この物件を買うつもりなので、
 他の人には売らないでください」

と言われ、何の代償(つまり手付金)
も無しに物件を止めるようでは、
その会社は早晩、倒産するであろう。

なぜなら、土地を保有しているだけで税金がかかるし、
ほとんどの業者は銀行から資金を借りて
土地を仕入れるので、金利もかさむ。

万一、客に
「やっぱり買うの、や〜めた!」
と言われたら、それで終わりである。


業者からすれば、買い手は誰であってもいいワケだから、
手付を入れてくれない、つまり言い換えれば、
信用できない人のために物件を止めるのはリスキーだ。

「商談中」として物件を止めている間も
金利・税負担は続いているし、
物件を止めなければ、もっといいお客さんが現れて
即断即決してくれるかもしれない。


ところが、宅建業法では
・手付金
・申込金
・内金
などのいかなる名目であっても、
不動産の購入に際して授受する金銭は、
商談が不調に終わって契約に至らない場合、
全額を返還しなければならない、とされている。

よくある「買付証明書」に署名捺印し、
「申込金」として10万円程度を添える習慣があるが、
この「申込金」も返還の対象になっている。

つまり、手付金という概念や商習慣を否定しているのだ。

ただし、商談が成立し、重要事項の説明を終えた後、
正式に契約すれば、その手付金は買主に返す必要はない。

*厳密に法の解釈をすれば、
決済時、既に受領済みの手付金は返し、
物件を引き渡す代わりに売買代金全額を新たに受け取る、
という事ですが。

そして、契約成立後なら、万一、解約した場合、
物件価格の20%を上限に違約金を取る事ができる。

これも、逆に売主側から解約した場合でも
違約金は買主に支払われるのだから、
どちらが有利不利というものでもなく、
買主が不利な条項ではない。

「不動産のプロである業者は、無知な一般人より
 有利な立場にあるので、業者を厳しく規制する」
という意図だが、
法律を勉強し、かつ業界で実務に携わった者から見ると、
著しく買主有利であるという感は拭えない。

今回のネタは、
不動産業者は胡散臭い、という偏見に対する反論です。
業者の辛い面も知っておいて頂きたい、
という気持ちから、敢えて書かせて頂きました。


この項を書いていて思い出した事を
次回に書いてみます。



タグ:手付金
posted by fudousan-eigyouman at 12:00| Comment(0) | 不動産業界で働く | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年02月20日

不動産屋はしぶとい

私が働いていた不動産業者は、
地元出身の高卒のオーナー社長が経営していた。

今風に言うとカリスマ営業マンだった社長は、
おそらく府内で5指に入る成績を挙げていました。

修業開始からわずか1年で独立。
まず不動産業者からスタートし、
一時は建築部門や外食産業にまで手を拡げたが、
不動産部門だけ残して、他は全部、
当該部門の責任者に独立させた。

そういった関係で、工務部門は子会社のようなもので、
よく工務の子会社の事務所に行っては
建築関連のいろんな事を教わったりもできました。

工務店というのは、基本的には監督業のようなもので、
大工をはじめ、瓦屋、塗装屋、内装屋などは全て、
それぞれ独立した個人または数人の零細業者が普通。

それをまとめるのが工務店の仕事ですが、
設計から進捗、役所関連の手続きなどでけっこう大変。

バブルの頃、日本の建築業のコストが高すぎる、
とテレビなどでよく業界を非難していましたが、
我々から言わせると、全ては役所のせいです。

(その理由を書くと長くなるのでまたの機会に譲る)


さて、バブル崩壊後は工務店の倒産が多かったが、
工務店に出入りするいろんな下請けから頻繁に聞いたのが、

「工務店はあっけなく倒産するけど、
 不動産屋はしぶとくて、なかなか潰れない」

というセリフ。


現在は原油高が原因のインフレにあるので
今の建築コストがいくらくらいなのか、もう分からない。

が、例えば10年前の1998年当時に
延床面積90u(約27坪)の一戸建てのコスト(原価)は
当社の仕様(かなり良かった)で1100万円くらいだった。

(自治体や仕様などにより、コストは大幅に違いますが)

この1100万円は、基本的に工務店が引き渡しまで負担する。
不動産業者は、買主から代金をもらってはじめて、
工務店に支払いをする。

つまり、不動産は金利負担がほとんどかからない。
逆に工務店は、仕事が増えるほど、また、
工期が長引くほど下請けへの支払いだけ増え、
受け取りは先延ばしに遭い、資金繰りが苦しい。

「工務店があっけない」のは
これが主な要因であると考えられる。
(勿論、内金を支払う不動産業者も多いだろうが)

もう一つは、不動産業者が手形を切らない、
というのが「不動産屋がしぶとい」要因であろう。

別の見方をすれば、工務店というのは
回収までに長い時間や資本をかける投資をする、
いわば製造業に似た商売であるのに対し、
不動産業は設備投資などにあまり金がかからない
金融業・IT関連、江戸時代風に言うなら、
士農工商の商に当たる商売である、という事だと言える。

かわりに、工務というのは、一定の知識があれば、
誰がやってもそんなに変わらない質及び量の結果が出せるのに対し、
不動産はノウハウ・能力次第で大きく差がつく商売である。



タグ:不動産業者
posted by fudousan-eigyouman at 20:00| Comment(0) | 不動産業界で働く | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。