2008年11月26日

杉を使うと。補強するには。確定申告。

木造建築で使う材木は、

・檜(ヒノキ。)
・栂(ツガ。トガとも呼びます)
・米松(べいまつ。北米産の松ですね)

などが主流です。

が、たまに杉を使う場合もあります。
特に、田舎の注文建築ではよく使います。


杉の欠点は柔らかいことです。

水分を多く含んでいるため、柔らかいのです。
そのため、どんどん木が痩せていきます。

梁に杉を使った場合、
少し重量がかかるだけでも、
その部分が大きく沈んでしまいます。


だから杉の値段は安いのです。

「絞り丸太」という床柱として使うには
杉材は最高にいいのですが。



さて、ここで、先週・先々週に引き続き、
情熱大陸で紹介された宮内建築の話です。


番組では、施主の希望で
杉を使うことになった物件の話をやっていました。

どうするのかと見ていると、
宮内さんの非凡さ(施主の非凡さでしょうか?)
を示す方法が採られていました。


即ち、
2年間(←だったと思います)、
宮内さん所有の貯木池に浮かべておきます。

これは、樹液などを排出させるためだそうです。
確かに杉を使うと、
建築中にも樹液がタレてきたりします。

樹液などを排出させておくと
痩せにくくなるのは確かでしょう。


その後、半年間、天日で乾燥させます。

そしてようやく、建築にかかります。

この方法は今では、
有名な大神社などにしか採用されないようです。


半年も乾燥させれば、ほとんど水分は抜け、
木は堅く締まっていることでしょう。
杉の欠点はなくなっているはずです。

しかし・・・
材木というのは高価で、コストの多くを占めています。

それを買ってから2年半も寝かせ、
更に建築期間も含めると3年くらい、
材木代を回収できないでいるのです。

このコストは、最終的には施主が払う事になります。

もう一つ心配なのは、
材木が反らないかどうかです。

半年も寝かせると、
かなり反ってしまうんじゃないか、
と思ったりもします。



次に、
20坪2LDKの家で筋交いなしの家の話。

この家を建てるのに、約1年間かかっています。

宮内さん考案の「挟み梁工法」という
新工法で建てたのも理由の一つです。

筋交いを入れないのが施主の希望だったため、
普通の工法では躯体が弱くて
建築の許可が下りないからです。

前々回にも書いたように、
筋交いを入れない代わりに、
大量の木材を使って補強しなければなりません。

結果、通常の4倍の材木を使って、
強度を保っています。

恐らく、
私たちが十分満足できるレベルの家を建てる、
その2倍以上の代金を施主は支払っているでしょう。


最後に。
宮内さんの自宅は、
平凡でありふれた仕様の家でした。



そして、教師である奥さんが

「ウチの家の新築はいつになる?」

と宮内さんに尋ねると、宮内さんは

「お前の名前でローンを借りられたらな!」

と答えていました。


半分はテレビ用の冗談でしょうが、
半分は本音でしょう。

大工のほとんどは、年間の所得を
100万円前後で確定申告しています。

(理由は、税金を払いたくないからです)


宮内さんがいくらで申告しているのか
知る由もないですが、
彼ほどの人物なら相当な所得があるはずですけどね〜


再度、念を押しておきますが、
宮内さんのやり方を批判している訳ではありません。

彼は素晴らしい腕を持ち、
高い理想を持つ尊敬できる大工です。

が、一言で表現するなら、
一般人には縁のない「芸術家」ですね。



ラベル:宮内建築
posted by fudousan-eigyouman at 03:16| Comment(0) | 新築工事 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年11月19日

厳密に言えば、確かに木と金具は相性が悪いですが・・・

先週に続き、情熱大陸で紹介された
「宮内建築」関連の話題です。


番組では次に、
釘などの金具を使わない家を紹介していました。

これは、ある面では理に適っています。

木造建築の主材料である木と、
釘などの金属は、
厳密に言うと相性がよくないです。

しかし、コストパフォーマンスを追求すると、
どうしても金具を使わざるを得ないのです。


釘はもちろん、鎹(かすがい)や、
筋交いを固定するBOX金具など、
これらの金具を使わずに同じ強度を出すには、
かなりの材木を必要とします。

建物コストの多くを材木が占めているので、
金具を使わない=大幅なコスト増になります。

一定レベルの水準にある家を、
安く提供するには金具は不可欠です。



次に、「石端建て」工法を紹介していました。

コンクリートのベタ基礎でなく、
いかにも値段の高そうな、白い綺麗な束石を並べ、
その上に柱や束を立てる工法です。

きっと、大昔の寺院や神社に見られるような、
古風な趣のある建物に仕上がる事でしょう。


しかし、デメリットがいくつかあります。


まず、束石の値段がかなり高くつきます。

次に、床下が土のままなので、
家の重量バランスが悪いと、
不等沈下を引き起こす可能性もなきにしもあらず、です。

簡単に言うと、家が傾きやすいということです。
(もちろん、考えた上で建築するはずですが)

更に、床下が湿気やすい。

土のままですから当然なのですが、
雨が降ると、水分が床下にまで回ります。
(地面が吸収した雨は、浸透して床下へも影響します)

対策としては、床を高くしているはずです。
(通風をよくするため)

しかしこれは、
バリアフリー化には反していますね。


つまり、趣き豊かにするのと引き換えに、
高価で弱くて不便な家を作っているのです。

欠点を補うために、
またも莫大なコストをかけているのです。

ああいう家のお施主さんは、
おそらく金持ちでしょうから、
あまり気にしていないんでしょうけど・・・


普通の人は、
あまり憧れない方が無難です。

宮内さんは、大工と言うより芸術家です。

時速20km以下だとノッキングしてしまう
フェラーリのようなスポーツカーより、
平凡でありふれていても、渋滞でも高速でも快適な
国産大衆車の方が「一般市民向け」
というのと同じといえましょう。



ラベル:束石 宮内建築
posted by fudousan-eigyouman at 15:00| Comment(0) | 新築工事 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年11月12日

理想の家造りより、人生のバランスを

日曜日の「情熱大陸」で
凄腕の大工を取材していました。

あれを見ていて思うところがあったので、
数回に渡って書いてみます。


宮内建築という滋賀県の有名な大工さん。

すばらしく腕のいい大工さんらしいです。
また、新しい工法を編み出したり、
理想を求める姿勢もすばらしい人でした。


番組では先ず、
彼の手がけた物件の映像がいくつか紹介されました。

「理想の家造り」のような本にもありがちな、
壁のほとんどが窓になっている間取りが
多く紹介されました。


見た目は開放感があって最高ですが、
壁がないと、「筋交い」が入らないので、
強度はかなり弱くなります。

木造軸組み工法では「筋交い」ですが、
2×4なら壁がその役目をしています。
(「耐力壁」といい、揺れ・ねじれに対抗します)


もちろん、TV番組に出るほどの人ですから、
強度面については考えているはずです。


その答えは一つ。

「大量の材木を使って補強する。
 または、太い材木を使い、強度を補う」


これしかありません。


番組の後半でも
筋交いを入れない家を注文されて作った家は
「普通の家の4倍の材木を使った」
と言っていました。

壁のない家=強度が弱い ので、
補強のために莫大なコストがかかるのです。



以前にも書きましたが、
「平凡な家」が最もいいと私は考えています。


2000万円で平凡な家が建つとします。

対して「開放感のある家」「こだわりの家」
を建てるためには、3000万円かかると仮定します。

皆さんなら、どちらを選ぶでしょうか?

私なら2000万円の家を建てて、
浮いた1000万円で海外旅行に行ったり、
自分や家族にいろんな経験をさせて人生を充実させるでしょう。

何事も、バランスが大事と思うのですが、
いかがでしょうか?


なお、
宮内さんを批評するつもりで書いたわけではありません。
彼はすばらしい人だと思います。



ラベル:耐力壁 宮内建築
posted by fudousan-eigyouman at 16:05| Comment(0) | 新築工事 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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