2008年08月27日

表札の撤去

あるお客さんに中古住宅を仲介したところ、
引渡し後に依頼(問合せ)がありました。

門に、前所有者の表札が埋め込んであったのですが、
これが固くて取り外せないというのです。

で、デパートの中にテナントとして入っている
立派な玄関用の表札屋に訊くと、
”撤去費用に2万円かかる”と言われ、
困って助けを求めてきたのです。


(2万円もするなら、前所有者の責任に於いて
 表札を撤去しておくべきである、
 せめて半額の1万円負担してほしい)


と言いたげでした。


そこで私が現場を見に行ってみると、
コンクリートでもなく、漆喰のようなものでもない、
私も知らない、かなり強力な接着剤でした。


分からないので、工務の者に見に行かせると、

「これは素人では取り外せないですね。
 関連の下請け業者に見させますよ」

とのことでした。



一方、前所有者に連絡を取ると、

「自分では取り外せなかったので、
 そのままにしてしまっていました。
 そちらで外せるなら、見積もりを下さい」

との返事。



翌日、下請け業者から連絡があり、

「今、見に来ているんですけど・・・
 ついでの時で良ければ2000円でいいですよ」

と、良心的価格を提示してくれました。

2000円というと、「交通費+アルファ」程度です。
業者側から見れば、撤去工事費用は無料同然です。


そして、

「”ついでの時”って言うのはですね・・・
 表札を外すのはいいんですけど、
 また新しい表札を入れなきゃダメでしょ?
 古い表札を取った跡がボロボロになるので、
 新しい表札を買ってから、連絡をください。
 古いのを外して、新しいのをキレイに入れてあげますから。
 その代わり、こちらの都合のいい日にやる、って事で・・・」


これは業者の立場に立てば、理解できます。
電話料金を払って打ち合わせし、
施主の希望日に合わせるにはスケジュール調整もして、
再度、ガソリン代と有料道路代を払って来る事になるなら、
それなりにコスト増になります。

こちらの都合で工事を進めていいなら、
表札取り付け費用も込みで、
交通費だけでいいですよ、という事なのです。


買主に伝えると大喜びで、
下請けに任せると言ってくれました。

また、売主(前所有者)にも、
「たった2000円だから、売主負担は無しでいいです」
と伝えると、とても感謝してくださり、後日、
実家で取れた柿を買主さんの家へたくさん贈ってくれました。

このような「ささやかな、だけど心温まるやりとり」は、
私たち不動産業者にとっても、嬉しい話です。


なお、物件の売主さんは、上記のようなケース、
つまり、撤去すべき物を撤去しなかった場合、
不動産屋の担当者に一言だけでも言っておきましょう。

もし、2000円でなく2万円なら、
話はこじれていたかもしれないのです。

お互いに気持ちよく、信義誠実の原則に則って、
爽やかに取引したいものですね。



タグ:表札
posted by fudousan-eigyouman at 14:19| Comment(0) | 中古住宅の注意点 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年08月20日

汲み取り式便所の中古住宅

汲み取り式トイレの中古住宅は
いまだに多く存在している。

特に地方圏では、農家の力が強く、
水洗式トイレの普及を妨げてきた。

新たに分譲地を開発する場合、
排水については、
周辺の農地の地権者の同意が必要である。

生活排水等が側溝を流れ、
その溝の水を農耕に利用するためである。


下水道が普及していない地区に水洗便所を設置するには、
各戸に浄化槽を設置して汚水を処理するか、
開発団地の一画に集中処理浄化槽を設置する。

が、いずれにしても、浄化槽で浄化した排水は、
公共の溝や川に流される。


農家は、たとえ浄化槽で処理されたとは言え、
元々は便所の汚物を含む水であることから、
排水には同意しないのが普通であった。

以上により、浄化槽設置による水洗式便所は普及せず、
便所は汲み取り式の家しか認められなかったのだ。

(下水道の場合は、台所の排水も便所の排水も
 全てまとめて下水管に流し、処理場まで行くので、
 その汚水を農家が利用することはないのです)


ある時期から行政が
”農区は排水に同意するよう”指導を始め、
代わりに同意金・協力金などの名目で
分譲業者から金を取ることを黙認するようになった。

飽くまでも私の知る限りに於いては、
これらの金に税金はかけられていない。

排水の同意にかかる金銭については、
各農区により差があるが、
100戸の分譲地で、1戸あたり5万円徴収すれば
500万円もの大金になる。

これらの金が日本全国で、
税金もかからずに消えている。
(使い途も知っていますが、ココでは書きません)


バブル崩壊前後の数年間マスコミが吠えていた
「日本の家はなぜ高い」という問いには、
「こういった『隠れ利権』も一因」
と私は答えます。

もちろん、これだけが原因の全てではないし、
排水同意という行為が悪であるとも言えないが、
日本の不動産が割高な理由の一つではある。


逆に、色んな名目で金を取るからこそ、
水道、下水、道路、電気などのインフラを整備できる。

日本は多くのコストをかけるからこそ、
世界で最もキチンとした国土の発展を進められているのですが。

また、日本の工業が発展したのは
水田耕作による水の1次利用が
工場での水の2次利用に大きく寄与しているから、
という説があります。

よって、高コストだから一概に悪いとも言えないかもしれないし、
農家がその利益を享受しているのはケシカラン、とも言えない。
政治判断もからんでくる事です。


なお、汲み取り式トイレの家を売却した場合、
引渡しの直前(当日朝または前日)に、
汲み取りしてから買主に引渡すのがマナーです。

浄化槽の場合も、沈殿物を汲み取りして
買主に引き渡すのが一応のマナーです。


また、
汲み取り式トイレを水洗化する工事費は
(一概には言えませんが)
ざっと100万円前後と考えておきましょう。

汲み取り式→浄化槽+水洗便所
なのか、
汲み取り式→本下水+水洗便所
か、によっても違うし、
便所の位置や、浄化槽までの距離によっても
工事金額は変わります。

浄化槽の機械そのものは高価ですが、
補助金を出してくれる自治体もあります。



posted by fudousan-eigyouman at 13:45| Comment(0) | 秘密の情報 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年08月13日

日本にもあったサブプライムローン

日本に於いて、
プライムローンが銀行や住宅金融公庫だとすると、
サブプライムローンはバブル時には住専などの「ノンバンク」、
バブル崩壊後は「信販系」などと呼ばれる金融機関に相当する。


代表的なサブプライムローン会社に
・日本信販(現・三菱UFJニコス)
・オリコ(オリエントコーポレーション)

などがある。


通常、銀行の住宅ローンの融資条件は
原則「3年以上の安定した収入」である。

たとえ高収入の会社に転職しても
高年俸を証明できる期間が3年に満たなければ
返済能力=信用力は、低い年収によって計算される。


しかし、いろんな資料を提出し、
今後も高収入が維持できると認められれば
目一杯貸してくれるのが「信販系」である。

厳密には、信販会社が貸すのではなく、
信販会社が保証することで
他の金融機関が貸してくれるのですが。


信販系は、ローン案件に対して柔軟に対応するため、
そのリスクを取るのと引き換えに
住宅ローン金利は銀行より1%程度高い。


さて、私のお客さんで、信販系の住宅ローンを
利用してもらったことが何度かあります。

が、不動産の担当営業マンにとって、
信販系は面倒で、正直、あまりやりたくないのです。

膨大な枚数の資料提出と、融資担当者との面接など、
イレギュラーな作業が多く、
仕事のリズムが崩れるのです。

また、金利が1%高いと、2000万円の住宅ローンで
年間20万円負担増(当初)となります。

ですから、あまりおススメできるローンではありません。


しかし、お客さんにもいろいろ都合があるのですね、

・子供の学校の都合で、ちょうどいい時期だから、
 マイホームを買うには今をおいて他にはない

・今住んでいる地域では、滅多に売り物が出ない。
 今を逃すと、5年、10年、マイホームを持てない

・今住んでいるアパートでは狭すぎて家族4人では息苦しい。
 1DKに4人では、思春期である息子と娘の教育にも良くない。
 あと2年もこのままの状態なんて、無理


などが代表的な動機です。


こういった理由を挙げられ、
お客さんの強い意思を確認できれば、
金利が高いのを納得して頂いたうえで信販系を利用します。


信販系は柔軟に案件を審査するのですが、
代わりに、かなり厳しく借り手を縛ります。

例えば、奥さんの親を連帯保証人にします。
心理的に夫に逃げられないようにするのです。
不動産業者にとっては、
こういう作業も嫌ですし、現実に面倒でもあります。

奥さんの実家が遠方だと、
本人の金銭的・心理的負担も増えます。

しかし、どうしても今、家を買いたい人には
信販系は強力な味方であるのも確かです。



信販系でローンを組むに当たって、
私がお客さんにおススメしたのは、

安定収入が3年以上続き、役所から3年分の所得証明が取れれば、
(もちろん、転職後の高収入の年収が記載されているものです)
低金利の銀行系の住宅ローンに借り替えるのです。

登記費用の負担はありますが、
かなりの金利差を軽減できます。

そうすれば、希望の物件が買えたこと、
また、その代償として数年間だけ高い金利を払ったこと
などにも納得できることでしょう。


信販会社によっては、借り換えを防ぐため、
いろいろと策を凝らしている場合もあります。

「融資実行日から●年間は繰り上げ返済不可」
などという契約になっていたりします。

しかし、その期間が過ぎれば、
借り換えしてしまえばいいのです。

役所から昨年分の所得証明が出せるのは6月頃からです。

「源泉徴収票」はその年の12月、
或いは年明け早々に会社からもらえるのですが、
市役所などから所得証明がでるのは、
確定申告が終わり、その入力が完了する5〜6月なのです。
(役所の事務処理キャパシティにより、若干前後します)



posted by fudousan-eigyouman at 12:00| Comment(0) | 住宅ローン | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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